- 概略
ということで思い立っては断念を繰り返して30年。
長年ずるずると気になっていたバイクの免許を取得して3輪バイクに乗ることにした。
- 20世紀末ごろの話
元々1990年代前半、大学生の頃に友人から格安で譲ってもらった50ccのスクーター(確かJOG)に乗っていた事があって、バイク自体は便利で楽しい乗り物だという体験があり認識もしていて、そのうち大方の当時の若者が考えたであろう、普通二輪の中型バイクに乗ってみたいと思い、当時はホンダのゼルビス(4スト250cc)に乗ってみたいなぁと思っていたのですが、1994年に決まった就職先では生活上絶対自動車が必要で、バイクも乗るとなると免許の取得から保険やら維持費やらでとても余裕が無く断念しておりました。
その後仕事が本格的になってくると教習所に通う余裕も無く、たまにふとまたスクーターを買って乗ってみようかと思ったりもするものの、まぁ車があるのにわざわざ長距離移動もできず積載量も少なく普通二輪ほどでは無いにしろプラスアルファで費用がかかるとなると…で購入も見送ってきておりました。
が。
やっぱりずっと乗りたいと思っていたんですね、レジャーとしてですね。
- 微妙に再考
で、2015年を過ぎた頃に、ふと街中にずいぶんとピンクナンバーでリアに△マークが付いたバイクが走っているなぁということに気がつきました。
それが小型二輪=原付二種のバイクであり、125ccなので高速には乗れないものの一般道は普通の自動車に混ざって走行できるもので、車検も無く、保険は自動車保険に500円くらいプラスしてファミリーバイク特約を付ければ十分な補償が確保できて、更にAT限定免許なら8時間=最短2日の教習で取得できて教習費用は9万ちょいくらいと、なるほど中近距離移動前提で乗るなら大変コスパが良い2輪だということがわかりました。
そして2021年頃。コロナで単身赴任先から県外移動禁止令が出たタイミングで「これならいっそ赴任先の都市部にある自動車学校で小型限定免許を取得してバイク買って県内ツーリングに行くってのはどうだ?県外移動しなければルールは守れるし一人でツーリングする分には感染症のリスクもほぼゼロで良いんじゃないか?」と思い至りました。(ちなみに今冷静に考えてみれば住民票は自宅のままだったのでナンバー取得を自宅の自治体に申請しないといけないから書類を郵送して自宅の家族に役所でナンバープレートを発行してもらってそれを郵送してもらう…みたいな対応が必要だったはずで少々面倒だったかもしれません…)
で、変わりもの好きな自分としては125ccで乗るなら以前、正確には記録によると2013年の東京モーターショーでコンセプトモデルを見て「おお!これはちょっと乗りたいかも!?」と思ったヤマハのトリシティか、地方の山道を走るならハンターカブとかクロスカブあたりが面白そうだと思っていまして、でもまぁやはり一番乗りたいのはトリシティだなぁ…と思っておりました。
が、そんな話を看護師の奥さんにしたところ「病院に救急搬送されるバイク事故のけが人はあらかた骨折って骨肉ずる剥け状態だし、結構白い棒が腕や足から突き出てたりするのも居るし、危ないからやめときなさい」と諭され、まぁ、そこまで言われるなら…と、またも断念した次第だったのです。
が。
- 転機
唐突に転機が訪れました。
たまたま夜にドラッグストアに買い出しに行った時にトリシティーを見かけたのです。
で、急に奥さんが「これなら安定感ありそうだから乗っても良いよ」と言い出しました。「いや元々これに乗りたかったんだよね」という話で、それなら小型二輪免許取って買おうかと、もうだいぶ長い事気になってるし本当に高齢になって乗れなくなる前に乗っておこうかなぁ…と、だいぶ本気で考え始めました。
で、いざ本気で小型二輪を取得するにあたっていろいろ調べたところ、将来的に乗る可能性があるスーパーカブやクロスカブもAT扱いで乗れることがわかり、正直生涯MTバイクに乗ることは無いだろうと、小型AT限定免許で十分かなと、教習所も徒歩圏にあるし、教習8時間で取れるならそれこそ週末にでも行ってくるか…と思い至りつつ、費用面を計算したら免許教習費用9万、車体50万、諸費用5万、自動車保険にファミリーバイク特約で月額500円増と、まぁ費用的には貯金でなんとかなることも判明。
と言う事で、遂に決行するかと思った矢先、ガレージの隙間が足りなくてバイクを置くのは無理だって事が判明。将来軽自動車に買い換えたらセットで買うか…という事で再び断念しそうになりました。
が、ここで某友人から「まずは免許だけでも取っておくのが吉・・・・かな。」という呟きが…
ここでハッと気がつきました。
そうです、自分ももう齢50歳を超えています。今乗らなければ、今から乗り始めたとしても乗れるのはせいぜいあと20年くらいなんじゃないか…いやそもそも今免許を取得しないと身体機能が低下して2輪免許が取れなくなってしまうんじゃないかと、具体的には教習課題の一本橋が渡れなくなってしまうのではないかと、こう、にわかに焦り始めました。
「人生で2輪免許取れるのはおそらく今がラストチャンスに違いない!」
と言う事でその週末2024年8月25日、実に35年ぶりに自動車教習所の門戸を叩き、普通二輪小型AT限定/普通自動車免許保有学科免除の教習コースに入校して教習開始となりました。
- 二輪教習
で、詳細説明を聞いてわかったのが、さすがに1日4コマ、2日で8コマで教習修了に到達できるわけではなくて(もしかしたら地方の空いてる教習所ならできるのかもしれませんが…)、基本教習所が1日1コマ次回分のみ予約可能で当日キャンセルがあればキャンセル待ちで受講できる…という制度になっていて、更にさすがに仕事は休めないので土日のみ受講という条件がつくとなると基本週末に1コマ、シミュレータ教習と合わせて取れれば2コマという進捗で教習を進めることとなりました。
更に実は実際には「検定コースを覚える」必要があるのと、コース上の注意すべきポイント(後方確認とウインカーを出すポイントや、走行ラインを変更するタイミングなど)も把握していかないといけないので2日で全行程終わらせるのはかなり物覚えの良い人じゃないと難しいという現実があって、実際みきわめの際にコースを覚えられていなくてウインカーが出せなかったり課題ゾーンに進めずにハンコ貰えなかった人を見かけたのでそれなりに覚える時間や慣れる期間が必要なんだなぁと思った次第でした。
さて、教習ですが。
学科は省略なので実車教習をやることになるわけですが、服装や靴などある程度指定があって、その上で貸与品の安全装備を装着。ヘルメットもずいぶん久しぶりに装着。昔と同じジェットヘルメットで違和感は無かったものの、プロテクター一式の装着は初めてだったので、なるほどこういう安全装備があるんだなぁと改めて認識するところでした。
で、昔50ccのスクーターに乗っていたとは言えバイクに乗るのは25年ぶりくらい…いや途中で1回くらい下地島でレンタルバイクを借りて乗ったことはあったかな…
いずれにしてもとにかく久しぶりのバイク。と言う事なのですが、初回の教習の際に過去にバイクに乗っていたかを確認され、「昔スクーターに乗ってたことあります」と言った所、教官が、「じゃぁ細かい説明は要らないですね、早速コース行っちゃいましょう」ってことで説明もほぼ無いままに教習コースに乗り出すことに。
いやいや20年ぶりでそんなにスルッと乗れるものかね?と思ったものの、これが案外身体が操作系の動作を覚えているモノで、自然にセンタースタンドを戻して車体を引き回し、出発位置で普通に乗車してミラー合わせてキーをオンにしつつブレーキ握ってスターターボタンをプッシュという一連の操作は違和感なく自然に実施できました。
普通のコース走行も自然にできて、コーナーも自然にバンクしてスムーズに速度を維持して曲がれたし、スロットルのコントロールもブレーキのかけ方もだいたい昔の感覚でそのまま行けて、ウインカースイッチの感触も昔と変わってなくてほぼ無意識に操作できました。
基本的にはバイクも自転車と同じで一度勘を掴んでしまえばあとは間が空いても普通に乗れてしまうものなのかもなぁと思いつつ、まぁ普通に乗りこなせて一安心でした。
と思ったのも束の間。
いかに昔50ccスクーターに乗っていたとは言え、自動車免許取得済で交通法規や標識類は理解していたものの、当時はバイクの実車教習も何もなくぶっつけ本番で全て我流で乗っていたので、いわゆる「教習コースを走ったのは今回が初めて。従って狭路コースも初めて。」と言う状況下、まぁS字は普通に通過、クランクは若干ふらついたものの通過、坂道発進は昔の感覚で普通にできて踏切や障害物回避も自動車と同じなのでこれなら案外楽勝かと思った所で案の定一本橋は4回中2回落ちる始末に。
想像通り細い板の上を低速走行するのでバランスを崩しやすい。普通にまっすぐ走ろうとするんだけどどうもバランスを崩してしまい体勢が乱れて落ちてしまったり、落ちそうになって立て直そうとスロットルを開けすぎちゃって暴走状態になりかけたりと、だいぶ残念な感じとなりました。
「これはしっかり練習しないとヤバいな」と、そう思って早速帰宅後にYOUTUBEの解説動画をいくつか視聴。
なるほど、「姿勢良く、真っ直ぐ遠くの先を見て走る」「バランスは自転車と同じようにハンドルを小刻みに動かして維持する」のがキモなんだということがわかり、次回教習では無事コツを掴むことができました。
ついでにその他の課題ポイントの対処法についても似たような動画で学習してコース取りなどの注意点を把握。
昔と違って自宅で簡単に動画解説が見られるのは便利だなぁと思いましたね。
で、概ね普通に走れるようになり、検定コースを覚えるために教習所に少し早めに行ってコーヒー飲みつつ待合室から教習コースを眺めてイメージトレーニングをしたりしてなんとかコースも覚えられて無事第一段階のみきわめを通過、第二段階では後方確認のタイミングとか細かい条件を覚えつつ急制動なども実施してこちらも特に違和感なくできて、2024年9月29日、第二段階のみきわめも合格を頂けて無事教習を終えました。
そしてその翌週末、2024年10月5日に卒業検定を受験して無事合格。入校から6週間程で追加費用無く規定で卒業することができました。
- 免許証書換え
かくして卒業証明書を取得できたのですが、この卒業説明の際に実は通常の免許の更新と違って二輪免許の新規発行(&学科試験免除)の扱いになることがわかり、免許センターではこの手続きは平日の午前と午後の30分ずつしか受付しておらず、休暇を取って対応する必要があることが判明。
幸い比較的仕事が閑散期だったのと消化しないといけない特別休暇が残ってしまっていたのでこちらを活用して平日に休みを入れて免許センターへ。
駐車場が埋まらないか心配だったので少し早めに行って待機しつつ、窓口のオープンにあわせて申請書の様式をもらって記入、費用を支払って、学科は免除ということで適性検査(視力検査のみ)をして支障なしということで申請を受理してもらい新しい免許証を発行してもらいました。(手続きは9時ごろには終わりましたが新しい免許証は11時ごろ配布され、結局午前中いっぱいかかった感じでした)
ちなみに過去にいまでも微妙に納得できない違反で青免許になってしまっていたのですが、無事5年を経過していたため今回の書換でゴールド免許に戻りました。これで次回の更新は優良者講習で済むと。やはり良いですねゴールド免許。ついでに引っ越しで裏面に新住所が記載されていたものも新しく券面の表に表示されたのでもろもろ最新化されて良かったです。
ということで無事二輪免許取得日が追記され小型AT限定ながらバイクに乗れる資格を手に入れることができました。
- 車両を調達
かくして遂にRPGのアイテム集めのように必要なアイテムが全て揃いました。
あとは現物の調達です。
ということで免許センターからの帰りがけに元々調べてあった地元駅から徒歩10分くらいのところにあるヤマハのバイクショップへ立ち寄ってトリシティ125の見積もりを取ってもらい、メーカー在庫はあるということで、いくつかオプションを追加で依頼して発注を確定。その日のうちに代金を支払い、10月中に納車される運びとなりました。
ちなみにカラーには特にこだわりは無かったものの、最初は一般的じゃない色ということでパステルグリーンを希望したところ、納品に時間を要することがわかってそれならば夜でも目立ちやすいメタリックホワイトでということで結果的に白になりました。
- TRICITY125、納車
待つことほぼ2週間。2024年10月23日に無事納車。かくして昔モーターショーで見て感銘を受けたコンセプトモデルの流れを組む3輪バイク、トリシティ一に乗るという夢が叶いました。
天気予報は雨でしたが幸い車両を受領して帰宅するまで午前中は雲は多めながら晴れてくれて初回からずぶ濡れにはならずに済んで良かったです。
で、事前に知ってはいたものの、実際に取り回すと想像の1.5倍はデカくて重かったです。
ガレージに手押しで入れる時に切り返したらバランスを崩しかけて早々に倒しそうになってしまって危なかったので今後も十分注意しようと思います。
ということで賛否両論あるようですが、TRICITYに乗って初めてエンジンを始動した時、初めてSERAのエンジンをかけた時みたいにワクワクしました。
嗚呼これは良いバイクです。たぶん30年もSERAに乗ってて今でも運転していてワクワクする楽しさを感じるように、このバイクも走るたびにワクワクすると思います。
安全運転で長く乗っていきたい。そう思いました。
…と言う事で、感動が新鮮なうちに早いとこ慣らし運転を兼ねて中距離ツーリングに行きたいのに天気予報がこれからずっと雨続きとか…まぁ、ゆっくりで。